分析

【Python×投資】アップル(AAPL)の株式成長、財務をプログラムで分析

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こんにちは、hokkyokunです。

Pythonというプログラムを使って米国株の個別銘柄を分析しています。

  • S&P500,ナスダック,ラッセル3000(米国株の時価総額の98%をカバー)の構成銘柄を中心に2600銘柄以上の個別銘柄を分析。
  • PERなど指標分析では同じカテゴリの銘柄に対して高いのか低いのか、同業他社との比較が重要
  • プログラムを使って銘柄の比較、ランキング作成。
  • Djangoというウェブフレームワークを用いたウェブサイトを作成

ウェブサイトのスクショです。
下記の図はアップルのPERを同業他社で比較しています。

赤いバーの位置にアップルがいます比較的割高であることが確認できます。

このように銘柄個別での深い分析と同業他社との比較を数千銘柄、ひとつひとつ分析していますのでよかったら見ていってください。

こちらから(investexplorer.net)

さて、今回は個別銘柄を分析しているサイト(investexplorer.net)を用いてアップルの株価を分析してみます。

  • アップルの財務健全性は?
  • アップルの株価は割高?割安?
  • アップルはしっかり稼げている企業?
  • アップルは配当をしっかり出している?今後も出し続けることは可能?
  • 同業他社に比べるとどうなの?

これらの観点について分析を行ってみます。

2024年11月16日時点での株価・財務三表を私個人が分析した結果です。
提供する情報については正確性を保証するものではありません。
また、特定の銘柄への投資を推奨するものでもありません。
投資は自己責任でお願いします。

米国株に投資をするならマネックス証券がお勧めです。

株価が今後成長するかどうかにおいて重要なのは「現時点での会社のデータ」ではありません。当たり前ですが、現時点での会社の評価はすでに株価に織り込まれれています。

「未来にかけて株価が成長するか」を見る必要があり、その一つの指標として「過去から現在にかけて売り上げや利益率が成長しているか」をきちんととらえておく必要があります。

現時点での会社のデータ=点でとらえるのではなく、過去からの成長性=線でとらえる必要があります。

マネックス証券は成長性からスクリーニングをすることが可能です。

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アップルの財務健全性

アップルの財務健全性を評価していこうと思います。

財務健全性を評価するにはいくつも指標が存在しますが、今回は代表的かつ多くの銘柄で公表されている指数を使っていこうと思います。

  • 時価総額
  • 流動比率
  • 自己資本比率

時価総額

時価総額とは 株式×発行済み株式数 で計算される値です。

一般的に、時価総額は会社の規模や経営状態の比較に使われる指標です。
時価総額が大きい企業ほど会社の価値が高いとされています。

アップルの時価総額は3兆4,010億ドルです。

テクノロジー株の中で第一位です。

ヒストグラム(同じテクノロジー株の他銘柄の分布)を確認してもほとんどの企業が10000×100万ドル(=100億ドル)以下であるのに対し、ぶっちぎりの時価総額を誇っています。

時価総額は社会からの評価、会社の通信簿と見ることができるので、そういった意味では文句のつけようがない値です。

流動比率

流動比率とは 流動資産 / 流動負債 で計算される値です。

流動資産は現金や売掛金など、流動負債は買掛金などを指します。
短期(一年以内)で現金化できる資産に対し、短期(一年以内)に支払わなければいけない金額の比率です。

短期的な支払い能力の指標です。

アップルの流動比率は0.87です。

一般的には1以上あると安心となる指標ですが、
他のテクノロジー株と比較しても、396銘柄中368位で、やや健全性は低いと言えます。

自己資本比率

自己資本比率は 自己資本 / 総資産 で計算されます。

自己資本は返済の必要のない資本を指します。
総資産のうち、返済の必要のない資産(自己資本)の比率を指します。

業種によって求められる数値は異なりますが、私が分析した限りでは、テクノロジー株の平均値は43.87%でした。

アップルの自己資本比率は15.6%です。

テクノロジー株で396銘柄中339位です。
こちらも他のテクノロジー株に比べると比較的低い水準です。

アップルは割高?割安?

アップルの株価は割安かどうかを評価していきます。

有名な指標としてPER、PBRがありますので、それらを詳しく確認してみます。

PER

PERは 株価 / EPS(一株当たりの純利益) で計算されます。

株価収益率です。

株価を一株当たりの純利益(EPS)で割ることで、株価が企業の収益に対して割高か割安かを判断することができます。

アップルのPERは36.28です。

テクノロジー株は新興企業が多いためか平均値はマイナスとなりました。

分布をみる限り、アップルはやや割高傾向にあると思われます。

PERの値がどうなっているのかを確認すると、徐々にPERは高くなっています。

ただ、アップルは知名度が高く、みんなが欲しがる銘柄のためPERは高くなりがちであるとも考えられます。

PBR

PERは 株価 / 一株当たりの純資産 で計算されます。

株価純資産倍率です。

こちらは株価が企業の純資産に対して割高か割安かを示す指標です。

アップルのPBRは59.72です。

上記のヒストグラムは外れ値を外すために上下5%の銘柄は除外しているのですが、
アップルのPBRはテクノロジー株の上位5%の極めて強い値となっています。

かなりの割高となっています。

ただ、上記の健全性で見たように、自己資本比率が低く、純資産(自己資本)の値はこれほどまでの大企業にしては低く抑えられています。

PBRは純資産(自己資本)が分母となるため、低い純資産に対し、高い株価がつけられるため、かなり割高になると指標が出てしまうのかもしれません。

アップルはしっかり稼げている企業なのか?

これまで見てきた指標によると、財務の健全性はやや低い傾向にあり、株価は過熱気味の傾向が見られます。

ただ、これは少ない資本で効率的に稼いでいるかもしれないし、しっかり稼げているからみんなが欲しがり、高い株価をつけている可能性もあります。

今度はアップルがきちんと稼げている企業なのかどうかを検証していきます。
以下の内容を考えてきます。

  • ROE
  • EPS
  • 売上・利益・利益率の構造の変化

ROE

ROEは 純利益 / 自己資本 × 100 で計算されます。

自己資本利益率です。

企業が自己資本を使ってどれだけの利益を上げているかを示す指標です。

アップルのROEは164.59です。

テクノロジー株の平均値が11.19なのに対し、アップルは164.59なのでかなり強い強い値です。

今まで見てきたようにアップルは自己資本をかなり抑え気味で、利益を稼いでいるのでROEもかなり高い傾向であります。

EPS

EPSは 純利益 / 発行株式数 で計算されます。

1株あたりの純利益を示す指標で、株式の収益性を評価します。

アップルのEPSは6.2です。

EPSは一株当たりの純利益を指します。
発行株に対し、利益率が高いことから資産をうまく使って稼いでいることがうかがえます。

売上・利益・利益率の構造の変化

最後に売上と利益について考えていきます。

用語説明について
利益にもたくさん種類がありますが、

ここでは売上総利益(売上高ー原価)と
純利益(原価や販管費、税金等のコストを全部引いた値)
について考えます

売上、売上総利益はやや上昇傾向ですが、純利益はやや減少傾向です。

利益率も下降傾向でやや利益構造としては悪化していると見ることができます。

ただし、アップルはそもそも利益率が高い会社です。
テクノロジー株の利益率のピークは10~15%なのに対し、アップルは24%を誇っているのでまだまだ稼げる企業であることは間違いないです。

アップルは配当金をしっかり出している?これからも出せる?

アップルの配当金について考えていきます。
ポイントとして、現在の配当利回りがいくらなのか、その配当金はムリをして出しているのか、これからも出し続けられるのか、増額できるのか。数値で判断していきたいと思います。

  • 配当利回り
  • 連続増配年数(継続して配当金を増やしているか)
  • 配当性向(無理して出していないか)

配当利回り

昨年(2023年)の配当利回りです。

アップルの配当利回り(昨年)は0.5%です。

テクノロジー全般に言えることですが、配当利回りはあまり高くない傾向にあります。
ボリュームゾーンに位置しており、アップルの配当利回りは特別高くも低くもないという状態です。

上場来の利回りの平均値を見てみても同様にテクノロジー株のボリュームゾーンに位置しています。

連続増配年数

配当利回りは可もなく不可もなくでした。

では、配当金の金額は増えているのかどうかを検証したいと思います。

配当金が昨年よりも増額されることを「増配」といいます。
この増配が昨年(2023年)まで何年連続で続いているかを比較してみました。

アップルの連続増配年数は11年です。

アップルは11年間連続で増配しており、それが今日まで続いています。
実績としては素晴らしく、ほとんどのテクノロジー株が増配を続けられていない中、続けて増配しているので、長期で保持することで額面以上に利回り効率が良くなっていっています。

例えば5年前は100ドルの株価で10ドルの配当金だった場合は10%の利回りです。
株価が上昇し、200ドルに、配当金は20ドルに増配したとします。

利回り自体は10%で変わりませんが、5年前に100ドルで買っていた場合100ドルに対し、20ドルの配当金が支払われるので、実質的な利回りは20%となります。

連続増配年数は長期で株を保有するならしっかりチェックする必要があります。

配当性向

配当性向は 昨年の配当金額/一株当たりの純利益(EPS)*100 で計算されます。

一株当たりの純利益のうち、配当金にいくら回しているのかを計る指標です。
これが高すぎると利益を配当金に回しすぎているので、継続して配当金を出し続けれるのか疑問ですし、まして増配なんかはもっと厳しい可能性があります。

アップルの配当性向は15.3%です。

他のテクノロジー株と比較してもボリュームゾーンに位置していますので無理をして配当金を出しているわけではなさそうです。

連続増配年数も高い企業なので、今後もよっぽどのことがない限り、増配は継続する可能性が高いと言えます。

【結論】同業他社と比べてどうなの?

いろいろな検証結果を見てきましたが、結局アップルという会社は財務、配当的にどうなの?をまとめてみようと思います。

※あくまで個人の見解ですので、参考程度に聞いてみてください。

  • 財務健全性
    他社と比較しても、自己資本が低く、借入を利かしたレバリッジ経営。
    好調の間は許されるが、主力のiPhoneの勢いがなくなったときが怖い
  • 割高・割安
    比較的割高銘柄
    知名度、利益構造からみてもみんなが欲しがる銘柄。
    ただ、今後みんなの期待以上の成長は見込めるのだろうか。
  • 売上・利益構造
    利益率が高いビジネスモデル。利益が出やすい。
    今までが高すぎるともいえるが、その利益率はやや減少傾向。
  • 配当金
    他社と比べても出しすぎているわけでも出さなさ過ぎているわけでもない
    増配はしっかりおこなっているので、長く持つインセンティブがある

私個人としては、今の上がり切った株価を買うという行動はとりずらいです。
ここから先、さらにアップルが成長する余力はどこまであるのでしょうか。

一方で、VRの世界での新たな布石を打ったり、積極的に挑戦を続けている企業でもあります。

財務的には心配ですが、新しいマーケットを開拓する可能性をどこまで見積もるかで投資行動が変わります。

私個人の行動としてはすでにオルカンやS&P500インデックス投資信託に高い比率で組み込まれているので、個別でわざわざ買うという選択肢はしません。

iPhoneが頭打ちならそれまでだし、さらにマーケットを拡大できるならインデックスでその利益を享受できます。

これ以上ポートフォリオを広げるのは悪手だと考えています。

みなさんはどう思いますか?